新潟大学脳研究所 脳神経外科教室

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活動報告 -教室のご紹介-

2014.05.29 最新情報

海外留学便り(2014アメリカ編)

アメリカに留学している平成15年入局の棗田先生から留学便りが届きました。

 

平成15年入局の棗田学と申します。現在、米国ジョンズ=ホプキンス大学神経病理学教室に留学しております。こちらでどのような仕事をしているかをご紹介させて頂きます。
私が留学している目的は手術見学など外科医としての腕を磨くためではなく、脳腫瘍の研究法を学ぶためであります。
現在の医療では、脳腫瘍の代表である神経膠腫の患者さんは早かれ遅かれほぼ全員再発します。なぜならば、神経膠腫の腫瘍細胞は腫瘍本体の周りの脳まで侵し、手術では取り切れないためであります。腫瘍の周りの脳には、手足を動かしたり、言葉を発したり、目で見るための大事な神経が通っており、手術でその神経を傷めると大きな後遺症が残ります。そのために、手術では安全に摘出できる範囲で腫瘍を取り、残った腫瘍細胞に対しては放射線治療及び化学療法が必要となります。
近年、様々な癌や脳腫瘍における遺伝子や染色体の異常、DNAのメチル化等がその発生や増殖に関わっていることが次々と判明しました。私が留学しているジョンズ=ホプキンス大学や同じメリーランド州にあるアメリカ国立衛生研究所(NIH)は各癌の遺伝子異常を網羅的に調べた草分け的存在であります。個々の腫瘍では多くの遺伝子異常が認められますが、それらの遺伝子異常の引き金となる大事な遺伝子(master regulatory gene)異常が存在することが知られて来ております。それを見分ける手法として、腫瘍の培養細胞にある遺伝子の発現を抑制したり、亢進させたりさせて腫瘍の性質や遺伝子プロフィールがどう変わるかをみる方法があり、その方法を今勉強しております。その方法を応用することが、有効な治療への近道であると考えております。
神経膠腫、殊に神経膠芽腫は様々な腫瘍の中でも最も難治性なもの一つであります。その理由には、1)多くの遺伝子異常が認められること、2)腫瘍内の遺伝子異常が不均一であり、治療抵抗性を獲得しやすいこと、3)脳組織には血液-脳関門というバリアがあり、腫瘍に薬剤が到達し難い、4)周囲の脳に腫瘍細胞が浸潤し、手術では取り切れないなどの理由があります。
その神経膠腫でも、近年テモダールという有効な化学療法剤が開発され、イソクエン酸脱水素酵素(IDH)等重要な遺伝子変異が見つかり、神経膠腫が何故発生し、増殖し、治療抵抗性を示すのかが分かりつつあります。その理解の延長には新しい治療法が見えてくると信じており、そのため、世界中の研究者が力を合わせることを切に願っております。

ラボがあるスミス=ビル
ラボがあるスミス=ビル
研究室はガラス張り
研究室はガラス張り
ラボのパーティーより。Eberhart教授は最後列中央の背が高い先生。
ラボのパーティーより。Eberhart教授は最後列中央の背が高い先生。