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渡邉潤先生が米国留学から帰国しました

 

留学体験記 渡邉 潤

 2009年卒、2011年入局の渡邉 潤と申します。2021年3月から2024年3月までの3年間米国で研究留学する機会を頂きました。最初の2年間はイリノイ州シカゴ市の高層建築物が建ち並ぶダウンタウンに位置するノースウェスタン大学で行い、最後の1年間はラボの異動に伴いアメリカのディープサウスとも呼ばれる南部のアラバマ州のバーミンガム市に位置するアラバマ大学に移動し、一回の留学でアメリカ国内での都会部と郊外の2ヶ所の経験ができました。


勤務していたNorthwestern UniversityのSimpson Querrey Institute



 私の所属していた橋詰ラボは小児脳腫瘍の基礎研究を行っており、中でも難治性疾患であるDIPG(びまん性橋膠腫)、現在ではDMG(びまん性正中部グリオーマ)をメインの研究テーマとしています。DIPGの原因がヒストン変異(H3K27M)と同定され、エピジェネティクスの異常による遺伝子発現の調整破綻の静寂性を研究対象としており、新規標的や新規療法を発見しようと研究しております。また米国では日本ではほぼ皆無であるDMGの研究者がかなり多く、競争的な状態であるのも驚きで、日本人を含む様々な国際的な背景を持った研究者が熱意を持って仕事に臨んでいる印象を受けました。

 私の行ってきた研究生活は早朝から晩までラボでひたすら細胞やマウスを使用した研究を行い、関連する大量の論文を読んで、次の実験の計画を考えていくという留学前に想定していた余裕ある生活とはほど遠く、毎日ギリギリの生活でしたが、橋詰先生の元には米国内外の有名ラボからコラボレーションの依頼も数多く、自分のプロジェクトに加えて他のプロジェクトも行うことで時間の使い方や広範な知識や手法をこの3年間で学ぶことができたのは大きな収穫でした。忙しい毎日でしたが、それでも家族と共に過ごす時間は日本と比べると多く、休日にはアメリカの文化体験や、毎朝子供をシカゴのダウンタウンを通って学校まで一緒に歩いていく時間は今思うと貴重な経験でした。時には、うまくいかず落ち込んだり、お金の面で苦労したり、家族の問題など色々とありましたが、外に出て広大なミシガン湖を散歩したり、リフレッシュしながら仕事に臨むようにしていました。


大学から歩いて3分のミシガン湖。シカゴでは冬が長いため短い夏を楽しみます。



 留学の魅力は山ほどありますが、私にとってはこの3年間は研究のみならず、家族、脳外科の仕事、新潟、日本の良さを改めて知る貴重な経験でもありました。今後はアメリカで学んだことを活かして、脳神経外科医の仕事と研究を両方継続できるように尽力できればと考えております。また是非後輩にはチャンスがあれば、視野を広く持って留学含めて海外で活躍されることを強く望みます。新潟含む日本の多様性や国力維持に必要なことだと思います。最後になりましたが、このような機会を与えていただいた新潟大学脳神経外科の皆様に感謝申し上げます。


PIの橋詰倫太郎先生と筆者
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